「このログハウスもアリさんのおうちのものなんですかあ? すごいですねえ!」
鼻にかかった声。
小首をかしげて下から見上げるのは春麗。
しゃべるたびにツインテールが左右に揺れる。
「うん、まあ、僕のじゃないけどね。僕はすごくないよ。親のものだからね」
車のトランクから荷物を出しながらアリが春麗に笑顔を向ける。
「えー、それってもうアリさんのものっていってるのと同じじゃないですかっ」
「うっせーぞ春麗、うだうだまとわりついてねえでほら、やることねえなら荷物運ぶの手伝え」
話を遮ったのは小太郎だ。
肩に荷物を米俵のように抱えながら、ぶりっこをしている春麗を一蹴した。
唇を尖らせつつもアリに近づき自分の荷物を受け取り、にっこりと笑った。
「小太郎、荷物私も持つよ」
自分の荷物を小太郎が持っていることに気づき、メイがすかさず走り寄った。
「いいっていいって、おまえは大丈夫」
彼女の荷物は俺が持つといったところか。
「もー。小太郎君、メイちゃんのだけずるーい。私のはー??」
後ろで春麗が騒ぐ。
「はは。じゃあ、春麗ちゃんのは僕が持とうか」
「えっ。いや、そんなつもりじゃ。だ、大丈夫ですこれくらい。冗談冗談!」
アリが後ろから声をかけ、にっこり笑いながら手を差し出している。
「なんだよ、俺には持てっつっといてアリにはいいって。まったく調子いいよなお前は」
笑いながら春麗に噛みついた。

