これで終わりじゃない。俺を殺しに絶対にまた来る。そう思ってじっと動かずに対策を考えているとき、にわかに外がざわついた。
ぎぎっと頭上の扉が開き、雨が入り込んできた。直後、どさっと黒い塊が降ってきた。
男はじっと様子を伺った。1分、2分、3分………
誰も来ないと確信した瞬間、音もたてずに体勢を変え、今落ちてきたもののところへ走った。
「おい、まじかよ。今度はこいつがやられたのか。この短時間に二人も殺りやがった。あいつ………なんなんだよ。それに、このやり方、これが初めてじゃないな」
力の抜けきって重たくなっている涼子をずるずるとトランポリンの下に落とすと首に巻かれているタオルにとっぷりの赤黒い血が染み込んでいるのを見て、
「これはダメだ、助からねえ」
生きていないと諦めてそのまま静の死体の横に転がした。
「…………うぅ………」
咄嗟に振り向き、涼子の胸元にじっと目を落とすとかすかに上下した。
「まじかよ。おまえ生きてんのかよ。その傷で生きてんのかよ!」
素早く抱えて体を起こすと、涼子は眉間に皺を寄せて苦しそうに喉をおさえた。
「おまえ喉切られたんだろ?」
ふるふると首を振る涼子は自分の首を確かめるように呼吸をしてみせた。
「暗かった……から、間一髪、鎖骨のところに当たったっぽい」
「鎖骨のところ切られたのか? まじかよおまえ。そこだってやばいとこだぞ。不幸中の幸いだな。でもよかったそこで。首だったらとっくに死んでたぜ。即死だよ」
「………きっと………そうだね」
無理して笑う顔が痛々しい。

