ズブズブと突き刺すよりも、真一文字に横に引いて徐々に流れる血を見るのが好きなのだ。いっきに吹き出す血を見るのは好きじゃない。
しかし、今は楽しんでいる場合ではない。涼子の血をここに残すわけにはいかなかった。
ナイフで首を横に引いたそのすぐ後で、ここへ来る途中に掴み取ってきたタオルを涼子の首に素早く巻き付けた。
ぐったりする涼子の腕を掴む。他に誰か起きていないか神経を集中させて引きずりながら、誰にも気づかれないように外に出た。大雨の中、ずぶ濡れになりながら引きずった。
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男は身構えていた。
静が落ちてきた扉を見上げてじっと睨んでいた。
男は静が殺されたことを知っていた。
この中に誰かが入ってきたことにも気づいていたが、あえて気づかないふりをしていた。声を出して俺は起きていてお前が入ってきたのを分かっている。と警戒させることにも成功した。
遅かれ早かれ彼女は殺される。
助けに行くこともできたが遅かった。気づいた時には殺人鬼はもう静の横に来ていたのだ。
だからじっと一点を見て気持ちを集中させていた。
ここでこの殺人鬼を捕まえなければ逆に自分が殺される。
今がチャンスだ。これを逃したら次はないように思えた。いつ出るか。この殺人鬼をどうやって伏せるか。
そう思っていた矢先、外からの物音で惜しくも機会を逃してしまったのだ。

