「……見たんだ? 見ちゃったんだよね? あの中」
「……た。見てない。見てない。何も見てないから」
涼子は恐怖に首を横にぶんぶん振った。
「今、見たって言ったでしょう」
ふるふると首を横に振り、「見てない」と震えた声で言う。
「ふふ。あーあ、遅かったなあ。アレ、見ちゃったなら……」
「見てない。ううん、ごめん、誰にも言わないから。ごめん。お願い。でもなんで、なんでそんなこと………うそでしょ………だめ、そんな」
「嘘じゃないよ。びっくりしたでしょ? 私がやるとは思わなかったでしょう? それに、自分でも何言ってるか分からなくなってるでしょう?」
「なななんでこんなことするの? お願いやめて」
「さあ。なんでだろう。なんでやるのかなあ? なんでだと思う?」
「やめてお願い。と、と、友達でしょ」
「ともだち? なにそれ」
「やめて」
「やめる? まさか。それこそ嘘でしょ。知ってしまった以上、生かしておくわけにはいかないよ。分かるでしょ?」
じりじりと獲物を追いつめる。
その顔は楽しさに笑っている。
恐怖を感じて震えている者を見ながら、それを極限まで追い込んでいたぶって楽しんでいる。
ナイフを舐めた。
ぬらりと銀色に耀いて血を欲しがっている。
「本当はもっとむごたらしく殺したかったんだけど、時間もないし、あんたの他に始末しないといけないのがあと二人いる。だからあんたは一瞬で殺ってやる。嬉しく思え」
ナイフを持った手を振り上げた。
涼子が悲鳴を上げる前に、素早く涼子の懐へ飛び込み、喉元にナイフを当て、素早く横に引いた。

