A RUTHLESS KILLER


 夜遅くなると雨は更に激しさを増した。

 じっと辛抱強く待ち続けた甲斐があった。地下室の中の物音はしなくなった。

 二人のいる場所はだいたい分かる。

 トランポリンの下の空間だ。トランポリンは2つ。それぞれ別れて座っているか、二人で身を寄せているか。どちらかだ。

 この状況だと明日の朝一番にでもトランポリンの上に乗って外の様子に耳をそばだて、通りかかった人に助けを求めようとするだろう。


「そうはさせない。その前に殺してやる」


 この隠し扉はちょうど地下室の真ん中、ドラム缶を置いた後ろの壁に位置している。

 人の心理からして自分たちが殺されるために詰められていたドラム缶の近くには近寄らないはずだ。だからこそ、この位置に置いた。


 ここから入り込んで女がどこにいるのかを見つけなければならないが、それはわりと簡単なことだ。

 目を細め唇を引いた。手にはサバイバルナイフ。腰にも左右に一本ずつナイフを忍ばせてある。

 壁に両手を当て、慎重にゆっくりと壁を押す。小刻みに押すことにより鍵となっているたがが外れるようになっている。