激しい雷雨が割れんばかりに窓ガラスを叩きつけていた。

 夕飯を食べにレストランへでかけ、そろそろ帰ろうかという頃に天候が崩れ始めた。

 ようやくログハウスに着いたときには激しさは更にひどいものになっていた。

 耳を塞ぎたくなるような雷鳴が辺りに轟き、全ての音がかきけされた。

 大きめの雨粒は容赦なくアスファルトを叩きつけ、この世の汚れをすべて洗い流そうとするかのように水しぶきをあげている。


「メイちゃん? 眠いの?」

 春がツインテールを左右に揺らしながらメイの顔を覗きこんだ。

「春……。ん、なんか疲れちゃったみたいなんだ。すごい眠いの」

「今日大変だったもんねえ、ほんと体力も気力もすーごく使ったもん。」

「春、やめな」

「私も眠くなってきちゃったあ。もう寝ちゃおうかなあ。大雨だしー、外行けないしー、やることないしー」

 コーラの入っているコップを両手で持ってちょこっと口をつけ、すぐに置いた。

「アリさーん、眠くなっちゃったなあー」

 両手をアリの首に回しべったりと抱きついた。

 そんな春のことを妹でも見るかのようにほほえましく見つめていた涼子も、佐々木にそれとなく戻ろうと話を振った。

「じゃあ、そろそろ解散にするか。アリ」

 小太郎がメイを腕に抱きながらアリに提案した。

「そうだね。この雨じゃ何もできないか。それじゃ、それぞれ部屋に戻ってまた明日の朝にここへ集合ってことでいいかな」

「なんかあ、もう帰らなきゃならないなんて、寂しいなあ。まだいたいなあ、いたいなあ」

 と言いながらアリに絡めている手は離さない。アリももう慣れたものでさしてほどこうともしなかった。