「まさか君たちが生きてるなんて思わなかったからびっくりしちゃったよ」

 足を組み直し、膝の上に肘を乗せた。にっと笑った口元からは不気味な笑い声が漏れた。

「でも、よかった。これが試せるからさ」

 これとは今の二人の状態のことだ。

 ドラム缶の中に生きたまま突っ込まれ、首までを土で固めて口にはテープ。声は出せない。

 手足も縛られ身動きは絶対にとれなくなっていた。


「このままここに放置したらどのくらいで死ねるかなあ? 分かる? 強盗犯さん」

 その言葉に静が鼻で大きく息を飲み、隣の男を目が落ちるくらい見開いて凝視した。

「知らなかったでしょう? この男は君のことを犯そうとしてたんだよ。君だけじゃなくほかの女もね」

 男は目の前にいる『誰だかわからない人』を睨みながら手首をなんとか動かそうと力を込めていた。

「水はさっき飲んだから……三日はこのままでも持つよね。ただ、食事はしていないよね? ってことはやっぱり三日か四日で死ぬね。ということは……私たちはここは明日には出るから、今度ここへ来るころには君たちはきっと半分腐って虫に食われているころかな」


 静が恐怖に戦き、息の続く限り悲鳴をあげ続けていた。