A RUTHLESS KILLER


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 土の臭いがした。瞼は重くてすぐに下がってしまう。体は重くて動かない。

 隣でうーうーとなにかの唸り声が聞こえる。動物なのか人なのか、区別がつかない。頭が重い。口が開かない。体に力が入らない。

 声の聞こえる方へ首を動かせば、更に唸り声が大きくなった。

 汗だくの体に砂がまとわりついているのか気持ちが悪いのだけは感じる。口の中がじゃりじゃりする。


 重たい瞼をこじ開けた。わずかな光もまぶしくて目を細めた。すぐそこに誰かが座っている。



「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



「おはよう」


 声が出ないのは口にテープを貼られているからだった。

 横を見れば静がぼろぼろに泣きながら体を力のかぎり揺らして目で訴えていた。

 静は首だけを出して土の詰められたドラム缶に入れられていた。

 ゆっくりと自分のことを確認すると、同じように首の下から土が見えた。

 恐怖に下腹がくすぐったくなった。

 ドラム缶の中に自分の体が埋め込まれている。膝を追って座らせられているのか腹が圧迫されていた。


 あの水に何か仕込まれていたんだ。意識の無い間に詰め込まれた。

 やられた。

 体を動かそうにも土できつく固められてびくともしない。