「っとに、おまえたちは後ろで菓子食っちゃ寝、食っちゃ寝の繰り返しだったろ? なんも疲れてねえだろうが」

 助手席からおりてきたのは、高峰小太郎(たかみねこたろう)だ。

 一言、デカい。180センチはゆうに越えている。
 子供のころから柔道をしているだけあって体格もよく体重も軽く90キロ以上はありそうだ。

 丸坊主だけど鼻筋は通っていて堀も深く浅黒いこともあってか、重たい印象はない。むしろその大らかさと懐の深さでみんなから愛されていた。

 しかし、いつも同じようなジャージ姿なのでなかなか女子にはもてなかった。


「まあまあいいじゃない。こうやって着いたわけだしさ。僕が道に迷ったからこんな時間になっちゃったわけだし」

 最後に車からおりてきたのは、坂口アリ(さかぐちあり)だ。

 チノパンに白いシャツ。オールドイングランドがよく似合う。

 身長は167くらいで小柄で細身だけど、全体的に柔らかい印象なので安全牌として男女問わず寄ってくる数は多い。

 本人の趣味は勉強。暇さえあれば勉強をしていた。