A RUTHLESS KILLER


「メーイちゃん! 小太郎君! なにそんな神妙な顔してんのお?」

 春がボートを近づけてきた。

「また春はそうやってアリさんにばっかり漕がせて!」

「だって私力ないからできないもーん、ね、アリさん」

 言うなりぶりっこ全開でアリに微笑み、小太郎はそんな春を見て、感情を隠しもせずに顔を思い切りしかめてやった。

「俺は大丈夫だよ。慣れてるしさ」

「あ。その言い方やだー。慣れてるってなんですかあ」

「違う違う、子供のころからこれで遊んでるってことだから」

「それなら許します」


 明らかに会話が昨日来たときとは違う。二人の間に何かがあったかのような雰囲気になっている。

 小太郎とメイは顔を合わせた。

「で、メイちゃん何かあったのー? あー。もしかしてメイちゃんたちも喧嘩したとかー? やだもーみんなでー! 仲良しなのって私たちぐらいですねー!」

 一人ではしゃぐ春はとりあえず放っておき、小太郎に話した内容をさっと二人にも話した。話を聞いてしまったこともさらっと付け足す。

 佐々木と涼子の乗ったボートがこちらへ近づいてくるのを小太郎がみつけ、何もなかったように接することにしようなと念を押した。

 春はどうしていいのか分からない表情でアリの隣に座って腕を回し、メイは春に余計なことは絶対言っちゃダメだよときつく言った。