A RUTHLESS KILLER


 気持ちを切り替えた六人は小型のボート三つに分かれて乗り込み、好きなように湖の上を漕いでいた。

「ねえ小太郎、昨日の事なんだけどね、」

 メイが意味深に小太郎に話しかけた。

「昨日のこと? なに?」

「うん。ごはんのあとコーヒーを最後に飲んだじゃん。私ね、実はあのコーヒー一口のんで残したんだけど、」

「なんで。別にまずくはなかったよな?」

「うん。ただ、私あんまりコーヒーって好きじゃないからさ。悪いとは思ったんだけど席を立つついでに流したんだよね」

「そうか」

「で、小太郎昨日ぜんっぜん起きなかった。体ゆすっても全く起きなかった。不思議なくらいぐっすり寝てた。睡眠薬でも飲んだのかってくらいにね。で、春もアリさんもそうなのかなって思って、」

「部屋抜け出したの? まさかうそでしょ」

「てか、抜け出たけど別に何もないし。でね、春のところに行ったら春いなかったんだよね」

「……どういうこと」

「アリさんのところにいたんだと思う」

「なんか見たの?」

「……話してる声が聞こえた。そこで、佐々木さんと涼子さんてワードが何回か聞こえた気がするんだ」

「……まじかよ」

 やはり静がいなくなったのはもしかしたら本当に佐々木と涼子の二人が関係しているのかもしれない。と、メイは小太郎に言いながら佐々木と涼子のボートをちらちらと覗っていた。



 二人は神妙な面持ちで何かを話し合っていた。