メイと小太郎、春とアリ、佐々木と涼子と三つのグループに分かれて結局夕方まで探し回ったが見つけ出すことはできなかった。
「ねえ、そういえば昨日、私がタオルを取りに戻った時にね、他の人が入った形跡があったってアリさん言ってましたよね」
「ああ、そうだね」
ボート乗り場でジュースを飲んでいる時にメイが思い出したように口を挟んだ。
ボートを楽しそうに漕いでいるカップルたちを発見した春は、アリにそれとなく聞いたところ、
「ボート? もちろんあるよ。本当は今日の午後にでも乗ろうと思ってたんだけど……」そのあとはすかさず春が引き継いで、
「乗りたいー! ねっ、乗ろうよー!」とアリにまとわりつき、
「もしかして夜中に入り込んだ変質者に連れていかれちゃったとかじゃないですかあ? さっきメイちゃんがいってたあ」
「それはないと思うよ春ちゃん。あの後、念のために鍵閉めてセキュリティー入れたし。それに広くもないんだし、誰かいたらすぐ分かるよ」
「確かに。お前にそれ聞いてからこっちも同じ造りだから同じように念のため鍵閉めた」佐々木も同意した。
「じゃあ……どこに行ったんだろう」メイが考え込んだ。
「とりあえず、ボート乗りましょうよ。早くしないと暗くなっちゃう。それにもう大人なんだし、もしかしたらいい人見つけてどっか行っちゃったのかもしれないですよー」
「春、やめな!」
「だってメイちゃん、これだけ探してもいないんだよ。どうにかなった形跡もないんだし、電話にもでないんだったらどうにもならないじゃん」
「それはそうだけど……」

