「そう。じゃ、わかった。教えてあげる。お前は…………こうなるんだよ」

「っっっ………ひあぁぁっっ」


 男は悲鳴にならない声を上げて首をおさえた。


「血血血血。血が出てる! おまえ、俺に何しやがった!」


 喉をおさえ、後ろを振り向いた。


 階段のところには誰もいなかった。

 声が反響してそこにたまって聞こえただけで声の主は男の真後ろにいて、その手にはナイフが握られていた。



「大丈夫だよ。すぐには死なないから」


 月明かりを背に膝をついた男の前にゆっくりと時間をかけて歩みより、震える男の前で仁王立ちになって見下ろした。






「僕の計画の邪魔をするからいけないんだよ。僕はちゃんと忠告した。でも君は聞かなかったよね。それにね、ここに来ている全員は僕の物だ。一人たりとも渡さない」


 にっと笑った歯に月明かりが光って輝いた。



「わ、わ、わ、わ、悪かったよ。な。悪かったよ。だから、殺さないでくれ」



 止まらない血に動揺した男が命乞いをした。