何かが外される音がして、扉が小さく揺れた。
男は汗ばんだ手を扉に当てて、恐る恐る扉を開ける。扉は滑らかに滑り、外の空気が中へと入ってきた。
一歩足を外に出せば、エアコンで冷たくなっている木の床を感じ、パウダーをまぶしたような柔らかさが足の裏に伝わった。
慎重に辺りを見回すが、誰もいない。
部屋の中は暗かった。もうみんな寝静まってしまったのだろうか。
と、その時、男の足が紙を踏んだ。目だけで下を向くとそこには何かが書かれていた。
しゃがんで手に取ると、
『今回は見逃す。次は無いと思え』
男はバカにした笑みを浮かべて鼻で笑って紙をくしゃっと丸めた。
「バカかこいつは。こんなとこに閉じ込められて今更尻尾丸めて帰れるかって?」
冗談じゃない。
丸めた紙をポケットに突っ込み、ぐるっと中を見回した。
奥に階段がある。ってことはその上に人がいるってことだ。
「あの女もいるのか」
かさついた舌で唇を舐め、外に出るために開け放たれているドアを無視して階段のほうへ足を向けた。そのとき、

