男が真後ろからメイの首に手を回そうとしたとき、
「あれ、メイちゃんどこから入ったの?」
間一髪、男はランドリールームに身を滑り込ませた。
たった今自分が入ってきたところからかすかに木が擦れる音がして、男は咄嗟に身を隠したのだ。
直後、知らぬ男がずかすがと上がり込んできた。息を殺し、二人の会話に耳を澄ませた。
「あ、アリさん。どうしたんですか? 何か用事だったらさっき言ってくれたらよかったのに」
「いやいや、残りのお酒とジュースを取りに来ただけだから」
「そうだったんですね。って、どこからって、ふつうに入り口からですよ。他にありましたっけ?」
「言ってなかったけどあるんだよ。小太郎が知ってるからいいかって思ってて。で、裏口から人が入ってくのが見えたから佐々木が戻ってきたのかなって思ったんだけど」
「佐々木さんまだいないですよね。ほかの誰か入り込んだってことですか?」
「いや、それはないと思うよ。この辺にはそんなことする人いないと思うし」
「それならよかったですけど、夜はちゃんと鍵閉めないとですね」
「気を付けた方がいいかもね。じゃ、行こうか」
メイの持っているタオルを彼女に変わって運び、ついでにビール瓶の入った袋もぶらさげた。
メイに気づかれないようにランドリールームの扉に棒を滑り込ませ開けられないようにしたことなど、
メイは全く気付かなかった。

