結局、誰よりも楽しんだのはやはり春だった。それもみんなに見せつけるようにして水着の自分を楽しんでいた。真っ白いビキニには同じく白いフリルがついていて下は同じ素材の超ミニスカート、春が動くたびにひらりひらりと揺れている。
湖に来ている観光客全てに見せつける勢いは加速し、もはや一人舞台。思惑通り、辺り一帯の男子はちらちらと春に視線を向けては見ていないフリをする。といったことを繰り返していた。
アリは小太郎とどこのキャンプ場にはどんな施設があって、周りの景色はどうだとか、キャンプのことについて話し合っていて、その横ではメイが文庫本を読んでいる。
佐々木は買い出しに抜け、春麗と涼子は湖ではしゃいでいる。
日差しに照らされ光り飛ぶ水しぶきに目を細めた春と大人の色気を放っている涼子はまるで正反対だった。
黒いワンピースの水着を着ている涼子と、白いビキニのパンツの上に同じ素材の超ミニスカートを合わせている春は傍目からは仲の良い姉妹にしか映らないだろう。
「春と涼子さん、めっちゃ仲良くなってね?」
小太郎が二人を眺めながらぼそっと呟いた。
「実は、合うのかもね」
文庫本を閉じて湖のほうに目を向けて眩しさに目を細めたメイは、
「タオル持ってくるね。あの二人そういえばなんにも持ってきてないから」
立ち上がり、腕を上にのばして伸びをして、大きくくるくると腕を回した。
「メイちゃん、優しいね。ありがとう」
「やだ、アリさんがお礼とかって。あはは。私も暑いからタオルほしくて。ついでですよ、ついで」
言いながら歩きはじめ、小太郎の肩をぽんと叩いた。
「気を付けてな」
「小太郎、すぐそこだよ。でもありがと」
アリそんな二人をほほえましく見つめていた。

