「入るよー。まさかと思うけどおまえらまでまだ寝てるとかないよね?」


 ノックもそこそこにずかずかと上がり込み、階段を上に上がる。

 仁のいるログハウスもまたアリのうちの持ちものだ。どこに何があるのかなんて目をつぶっていても分かる。


 造りもアリがいるところと全く同じ。


 リビングに人の気配がなかったということはきっと部屋で寝ているんだろう。そして、一番手前の部屋にはきっと仁がいる。

 だいたい男が階段上がって手前の部屋にくる。女子は奥?暗黙の了解でそうなっている。


「って、まじでおまえらも寝て……」


 部屋のドアをダルそうに開けながらアリが声をかけたその言葉は最後まで言い切れなかった。



「うわ!」
「きゃあ」
「っ……!!!」
「…………」



 四人の視線がそれぞれ同時にぶつかった。



「っ! まじ、わりぃ!!」


 部屋の中に一歩入り込んだ足を素早く引き、部屋のドアをばたんと閉じた。


 全速力で階段を降りたアリの後ろから、仁の大きな声が部屋の中から聞こえるが何を言っているのかまでは聞こえなかった。