「メイちゃんは小太郎君と付き合っていて、春麗ちゃんはフリーなんだ。今時の高校生ってほぼみんな彼氏とか彼女とかいるものだと思ってたよー」

 こちらの大学生女子二人もお酒が入ってホロ酔いになり、同じように目がトロンとしていた。

「何言ってんですかー、いない人だっていますー。みんながみんなじゃないんですよー。まったく」

「膨れない膨れない、春、春がよーく男の子を吟味してるって、ちゃんと分かってるから!」

 メイの茶化す言い方に春麗も思わず笑ってしまう。

「ごめんごめんそういう意味じゃないんだよ。てか、じゃあ……もしかしてアリ狙い? とか?」

「幼馴染みの御姉様!!! アリさんってどんな人なんですかあ、ぜひぜひ教えてください!」


 春麗の目は遠慮無しにハートになっていた。

「よしよしそれじゃあ、アリ君の隅から隅までぜーんぶ教えてあげましょう」

「きゃーーー! 隅から隅までですか! 聞きたーい!」


 はしゃぐ女子に圧倒される男子群は時たま叫び声のような黄色い声が女子から上がる度にびくっと飛び上がり、心臓をおさえていた。


「まじ、女子って話に夢中になるとまわりに誰かがいるとかお構い無しになるよな」小太郎が胸をわざとらしくおさえる。

「ははは。特に僕らじゃね、きっと安心しきってるから気にもかけてないんだよ」

「アリ、さっきからお前の名前がちらちら聞こえるからもしかしたらお前のことを話してるのかもな。おかずにされてんぞ」

「うん、そうだと思う。子供の頃のあれやこれやを暴露ってるんじゃないかなあの感じだと」

「いいのかよ」

「妄想だけならいーっしょ」

「まじ、女ってこえーわ!」

「強く同感」

「俺もそう思うな」


 神妙な面持ちで話に加わった仁が面白くて、こちらも負けじと豪快に笑った。