辺りに響き渡る悲鳴。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!
アリの右膝に戸張が降り下ろした短刀が突き刺さっている。
「あーあー、何やってんだよ戸張、これじゃあ約束と違うじゃねえかよ」
刑事が呆れた目を戸張に向ける。
「……殺さなかっただけマシだろうが」
足を伸ばしたまま両手を床につけてくるくる回り始めたアリの姿は滑稽だった。
「君たちも協力ありがとう。でも、無茶しちゃダメだよって言っといたよね」刑事は小太郎とメイの方に向き、腕組みをした。
「……すんません。つい」
「今回は殺されなかったから良かったけど、警察のいうことは聞いてよちゃんと。ああ、今回ってのは今言うのはおかしいかな」
「……すんません」平謝りの小太郎に、
「そんな話聞くことねえぞ。警察なんてクソくらえだ」
戸張が吐き捨てるように言った。その目には悲しみの色が映っている。中西が殺されたんだ。そんな簡単に消えるはずもない。
そうこうしているうちにサイレンが聞こえ始め、慌ただしくなってきた。
手際よく春はタンカに乗せられ運ばれていく。口には酸素吸入機が装着されていた。
アリは狂ったように唾を吐きながら支離滅裂なことを喚きたてていた。
戸張は項垂れつつも、素直に手錠をかけられた。
「メイちゃん、じゃあな。あんまり調子のってんなよ。このくらいにしとけ。もう二度とお前らには会いたくないぜ」
メイには戸張が言ったことの意味が分かっていた。
メイがことばをかける前に、警察に何か捨て台詞を吐きながら戸張はとぼとぼと外へ連れられて行った。

