「俺はなあ、女二人が殺されるところをこの目で見てきたんだよ。既に殺されて台の上に寝かされてる男もな。女二人は今お前がその姉ちゃんにやったように首をすぱーっと切られたよ。全く同じ切り方だった。殺されてた男の首にも同じ傷があった。それを調べりゃすぐ犯人はお前だって分かる」
そのことばを聞いて刑事が一斉に部屋に入り込み、地下室へとなだれ込んだ。
「あのさあ、誰も空き巣の意見なんて聞いちゃいないんだって。犯人は春で決まりだ」
「まだそんなこと言ってんのか。ぜんぜん違うだろ」
「違うことなんてない」
「なんでおまえ、腹に傷負ってんだよ。誰にやられたって? お前がさっきほざいてたやつみんなここにいるけど、誰一人血はついてねえぞ」
「…………」
「いいこと教えてやるよ。おまえ、さっきから支離滅裂だぞ。その場しのぎで重ねる嘘がうすっぺらいからバレバレだ。焦ったときこそ落ち着いて行動しろ。じゃないと足元すくわれる。今みたいにな。中西にも言ったことだけどな。中西、敵をとってやるからな」
戸張は素早い動きでアリの手から短刀を奪う。慣れた手つきで自分のパンツでついた血をぬぐう。
「戸張、やめろ!」刑事が叫んだ。
「どうせ捕まる身なんだからこいつ殺してすっきりしてからムショでもなんでも入ってやるよ!」
アリは恐怖に目を見開き後退りする。
「どうだ、怖いか? お前が殺してきたやつらみんなこんな気持ちだったんだよ!」
「やめっ、やめっ、やめっ、」
「命が惜しいか? 人の命を簡単に奪っといて、いざ自分がその番になったら惜しくなんだろ」
「やめろやめろよめろ俺じゃない俺じゃない俺じゃない。俺はやってない! そうだ、春だ!」
「もうやめろ。こっちがむなしくなってくる。おまえは殺しても殺したりねえなあ」
戸張は短刀を振り上げた。
アリの悲鳴が響く。
メイと小太郎も叫ぶ。

