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「こっから入れる」
戸張は佐々木のいたログハウスのもうひとつ隣のハウスの中へと入って行った。
「おい、ここは他人名義のものだろうが、ぜんぜん関係ないだろ」
「名義は他の人だったとしても、間違いなくあいつのもんんなんだよ。いいから黙ってついてこいよ」
足を引きずりながら戸張はずんずん奥へと進む。
メイか春を襲おうと下見をしていたときに偶然にもこのログハウスからアリがでてくるのを目撃していた。
ということは、この中に抜け道があるはずだ。と戸張はふんだ。
アリの親名義といっているのも怪しいもんだと戸張は訝しんでいた。
とにかく、中は同じ造りになっているんだから地下へ続く扉もきっとそこにある…………
誰もいないはずの部屋の中から物音が聞こえた。扉を叩くような、かすかな音だ。
息を飲み、辺りを充分に警戒した。
『誰かいる』
空気が緊張し、ぴりぴりする。外で待機している刑事にも緊張が走る。
「…………けてえ……」
扉を叩く微かな声。
「……すけ……てえ」
声がどこからするのか探し当てるのに、さほど時間はかからなかった。
「こっからですよ刑事さん。ここから地下へ行けるはずだ」
戸張が指差したところには木で作られたドア。
その中から微かに声が聞こえた。

