「演技すんのも疲れるよな」とは小太郎だ。
「ふふ。よくやったよ小太郎も。あのハウスには盗聴機がついてる可能性があったからね」
「そうだったの? 私も小太郎もぜんぜん気づかなかった。でも、誰が?」
「警察に」
「……ああ、まだ信用されてねえんだ?」
「でしょうね。僕たちの会話を聞いていたら困るからね。念には念を入れて。そんなこともあって、処分しちゃいたかったの」
「アリさあん、」甘い声を出した春は目がトロンとしている。
「春、それもういいんだよ」メイが眉を八の字にさせた。
「んーん、そうじゃなくてえ、上」
春の視線の先は天井に向いている。
「誰か、入ってきてる」
四人に緊張が走った。
地下室は封鎖した。隠し通路の存在を知っているのはこの四人だけだ。四人にしか見つけられないはずだ。
警察による一通りの調べは終わってるはずだ。それなのになんのためにまたここへ来たのか。
「もしかしてえ、あの男。生きてたのかあ?」
「あの男?」
「ほらあ、バカみたいな落ち方したやつ」
「それはないわ。私ちゃんと確認したし」メイが言葉を挟んだ。
「とどめは刺してないよお」
「死んでただろ」小太郎がメイの盾になる。
「死んでたと僕も思う。でもそんなことどうでもいいんだこの際」アリは話を制して人差し指を唇に当てた。
春は面白くなさそうにアリを睨み、メイに目をやり更にきつく睨み付けた。
「僕が見てくるから、君たちはここで待ってて」
アリが短刀を懐に忍ばせながら三人に小声で言った。

