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「俺たちは大学の山岳部仲間で、アリに便乗してここのキャンプに来ました。佐々木仁(ささきじん)です。よろしく」
見るからに山男。浅黒い肌。シャツの上からでも筋肉が盛り上がっているのがわかる。
「私は入ったばかりで右も左もわからないヒヨコです。テントも立てられないありさまで。今回はその練習も兼ねてお邪魔しました。朝霧静(あさぎりしずか)です」
元気よく挨拶をした静は小さくて細い。胸下まである髪を今はおろしている。
「私は……」
「鏡涼子(かがみりょうこ)ちゃん。僕の幼なじみなんだ。子供の頃からここには遊びに来ているからなんか家族と旅行に来たみたいで変なかんじだよね」
「ちょっとアリ君、私の自己紹介だけ割愛みたいなのやめてよね。はい、アリ君の話の通り、小さい時から一緒だからここもなんていうか実家みたいな感じなんですけど、楽しく過ごしたいと思ってます。あ、外での料理は任せてください。ちびっこの時からけっこうやってますので!」
笑いをさそう涼子はアリのことを睨みつつも笑顔でみんなに「よろしく」と声をかけた。
涼子は料理が上手で特にキャンプ料理はお手の物だ。男の料理よろしく豪快な料理の仕方だ。
「てかお前、ここに来る女の子は知らないって言ってなかった?」小太郎が思い出したとばかりにアリに話をふった。
「うん、そうなんだよね。だからさっきここに入ってきたときはほんとびっくりした。まさかって思ったよ」
「サプライズかよ」
「ほんと何が起こるか分からないよね。佐々木も人が悪いよね。そういうことは先に言っておいてくれないと」
佐々木に聞こえるようにもんくを言って笑い合った。

