春が一心不乱にドアの前に置いた荷物をどかしている。
その間にも小太郎と中西はドアを蹴飛ばしている。
その後ろでは、戸張が辺りを見回し、メイがナイフを片手に機会を伺っていた。
「いいか、メイちゃん。ここに入ったら俺らはあの女をかっさらって逃げる。お前はあのバカ男を捕まえて一緒に飛び降りろ。いいな。じゃないとみんな死ぬぞ」
「分かってる。でも、春を殺すわけ?」
「お前らだって殺されそうになってんだ。文句はねえよな。それにそんなこと気にするようなタマかよ」
「人を心の無い人みたいに言わないでよ」
「とにかく冗談はさておきだ、生きて出たきゃ協力しろよ」
「もちろん」
メイは戸張がどこまで本気なんだか見抜けなかった。
高校生に大人の男の考えが全部わかるなんて到底思えない。
こいつはこうやって自分を油断させておいてもしかしたらどこかで自分のことを殺そうとしているのかもしれない。
そう思うと背中に冷たいものがつつと落ちた。
しかし今はそんなことを言っている場合じゃない。
ここから出るのが最優先だ。
今はこいつに従うしかない。

