「いいか、なんでもいいから手当たり次第にドアの前に置いたもんをどかせ。ちゃんとどかさなくても力任せに落とせばいい。俺らはここから蹴り続ける。軽くなったら蹴破れる。それまでどかせ。いいいな」
「分かった。アリのところに連れて行ってくれるのね?」
「もちろんだ」
「今どかす」
中では春が物をどかす音が聞こえてきた。
後ろからは煙が追ってくる。ここに煙が来るまでそんなに時間はかからないだろう。
早くしなければ、みんな煙に巻かれて死んでしまう。
「あんた、なんでそんなにすらすら嘘が出てくるわけ?」
「メイちゃんだっけか? いいか、生死がかかってるときはな、それが嘘でも本当になるんだよ」
「意味が分からない」
「お前はまだまだ甘い。修羅場をくぐらねえで悪さしてりゃあ、そのうちやられるぞ。覚えとけ」
「……それはどうも」
メイは戸張が自分のしてきている悪事を見破っての言い方だと即座に分かった。
いらぬことは言わぬことだ。
メイだってそのくらいのことは心得ていた。
こいつは怖い。でも仲間にしておくには価値がある。
そう、値踏みをする余裕も十分にあった。

