A RUTHLESS KILLER


 ミシ_と木がきしむ音。

 来た。ドア一枚隔てた向こう側に、いる。


「……春? いるんでしょ? 中に入れて」

 メイの声だ。春は窓のところにいて足を肩幅より広くとり、全身を固くしてじっと立っている。ここでアリに合図を送ればすぐに火をつけるだろう。そうしたらもう……


「……メイちゃん」

「春。ここ開けて」

「ごめん、今、忙しいから」

「うそついてもダメ。アリさんも一緒なの? そこにいるの?」

「メイちゃんたち帰ったんじゃないの? なんで戻ってきたの?」

「そんなの、春が心配だったからに決まってんじゃん。あんた一人で置いとけないもん」

「アリさんいるって言ったし」

「そうだけど、一緒に来たのに一人だけ置いてけないよねって話になったの。小太郎もいるよ」

「なんで? アリさんと私付き合ったのに?」

「わかってる。でも、心配だったし、春はそんなこと思わないだろうけど、私たちは心配だったの。だから、だから気になったの。別に邪魔しようとかそういうのじゃない」

「……」

「ねえ、開けてよ」

「……ダメ。帰って、お願い。メイちゃんがここに戻ってきた理由、本当は違うんじゃないの?」

 春の声は震えていて、下で春の様子にじっと耳を傾けているアリにはそれが手に取るように分かっていた。