あいつはもう使えない。
ここであいつがバカな真似をしたら必ず捕まってしまう。今までやってきたことをこの女はすべてしゃべってしまうだろう。
そうなるともう二度と出てこられない。
この女は邪魔になる。足手まといだ。
アリは屋根裏部屋を睨み、中にいる春のことを考えた。
『どんな形であれ、裏切りは許さない』
確か、あのサイトを出るときに約束したことだ。
あいつらはきっとどこかで俺らのことを監視しているに違いない。どこにいて何をしているかということもきっと感情の無い目で見ているはずだ。
もし裏切れば死ぬまで辛い仕打ちをしてくるだろう。あの二人はそういうことを平気な顔をしてやってくる。そういう奴等だ。だからこそ、あの女を裏ぎることはできないのだ。
だから、春をただ見捨てるわけにはいかない。始末するための違う方法を考えざるをえない。
「春」
「……」
「あいつらはどこにいる」
「もうすぐ来ると思う。足音がしてきた」
「もうすぐみんな自由になれる。がんばれ」
「……うん」
幸いにして春は影響されやすいタイプだ。
今はアリの言うことが絶対だ。アリが大丈夫といえばそれを素直に信じてしまう。

