「なんでですか戸張さん。俺にはなにもできないって、それ、俺に失礼じゃないですか」
むきになって言う中西のうしろを指さし、
「な。これだもん。お前にこの女はやれないよ。後ろ見てみろタコが」
いつの間にかメイがナイフを中西の首元にあてがっていた。
「ひぃぃ」
「私をどうするって?」
メイがナイフを中西の首に当て、小さく横に引いた。中西は首に痛みを感じ、戸張は眉間に皺を寄せ首を傾げた。
「悪かった。まじで。俺が悪かった。もう言わねえ」
両手を上げて降参した。
中西の首筋を赤い液体が流れた。
中西は自分の手の甲で優しくふき取り、
「おっかねえ。まじで、ありえねー女だな」
言いながら戸張の後ろにまた隠れた。戸張はそんな中西を見て、肩を揺らして歯を見せると、頭を一つひっぱたいた。
「メイちゃん怒らせると怖いからやめたほうがいいっすよ」
小太郎が面白そうに中西に声をかけ、メイに向かってウィンクした。
「おせえんだよ」
負けじと中西がことばを被せた。

