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「アリ、どうする。上には男がいる。私たちを捕まえようと待ち構えていると思う」
「問題はどこにいるかだ。ただ、ここは俺達のほうが詳しいだろう? 静かに表に出て外からこの中にいる男を見つけ出そう」
「わかった。こいつらはどうする? 鍵をかける? それともいつもみたいに隠す?」
「時間がない。このままにしてまずは上にいるのを片付けよう。それからでも遅くない」
春は頷くと慣れた手つきで内側から地下室を隠すように扉を閉じて明かりを消した。
真っ暗になった地下室には、殺された三人の血の臭いしかしていない。
アリは春の腕をしっかりと掴み、地下室の床に作った、体がやっと入るくらいの小さな抜け穴の扉を開き、春を先に降ろした。念には念を入れての造りになっていた。
抜け出たところには、枯れ木や草を乱雑に置いて入り口を隠してある。傍目には草木が枯れて倒れているようにしか映らない。
「春は佐々木のいた方へ行って裏からこの中を見るんだ。僕は玄関から回ってログハウスの周りを一週して調べてくる」
「一人じゃ怖い」
「あんなやつらに負ける君じゃないだろう?」
「でも……」
「僕がちゃんと見てるから大丈夫だ」
アリは自信たっぷりに笑みをみせて春の気持ちを落ち着かせた。
ここで春がしくじれば、とばっちりは確実にくらう。それだけは避けたいところだった。

