「いいか、中西。あいつらが出てきたらとにかくどっちからでもいいから刺せ。死なない程度にな。男の方は最後は俺がやる。いいな」
「……」
「聞いてんのかテメエ、返事くらいしろ」
「……」
「中西」
「……」
「……まじかよ。こんな近くにいてこれか」
戸張が暗闇の中でなんとか確認できたのは、ダレカに引きずられて行く中西のぐったりとした姿だった。
一瞬の出来事だ。何がどうなったんだか考える余裕もない。
戸張は踵を返し外へ出ようと入り口を振り返ったところで一歩も動けなくなった。
「残念。外には出られないよ。おとなしく着いてきたほうが得策だと思うけど」
「……っ、クソあま」
「1回目は見逃そうかな」
ナイフをちらつかせながら、「着いてきて」と一方的に言い切ったのは、
帰ったはずの、メイだった。

