あたし達は静かに扉が開くのを待っていた。 昼休憩の終わりを知らせるチャイムが鳴りつづける間、誰も口を開こうとはしなかった。 十人の生徒が職員室前を輪を空けて立っている。 異様な光景だった。 扉が開いて閉じる音がチャイムに重なって不協和音を奏でる。 かすかに眉を寄せたあたしの前で、彼女は全員の顔を見まわして、あっさりと告げた。 「今、退学届を出してきたよ」