「ただいま。」
「おじゃまします。」
家に…実家に帰ってきた。
「おう、おかえり。
湊も一緒か。
来ると思ったけど。
由茉、新居はどうだった?」
会うなりいっぱい喋る一輝。
「あぁ、うん。すごい。
その一言。
ってか知ってたんだね?」
「あぁ、全部な。
湊に頼まれたから。
由茉は俺がもらいますって。
くださいじゃなくてもらいますだからな。
いきなり。
まあでも誠意も伝わってきたし
両親も同意してるみたいだったから
俺が口出すことじゃねーしな。」
「そっか。
……私、これから湊と住むね。」
「おう。湊なら信頼してるし
俺も晴輝も賛成だよ。
如月の姫になったって聞いたときは
まじで落ち込んだけどな。
今となってはよかったな、姫になって。
姫にしたのが湊でよかったよ。」
「……うん、私もそう思う。
湊に出会って人生が楽しくて仕方ないよ。
美波に人生って楽しいって教わって
湊に体験させてもらって……
あんなに死ぬことを覚悟してた私が
こんなに幸せになるなんてね。
10年前の私に言ってあげたいよ。
私の人生捨てたもんじゃないって。」
あの頃はアメリカについて間もなくて
寂しくて辛くて苦しくて
死ぬのが怖くて……
絶望しかなかったもんね。


