そして夜
俺はまた一輝さんを訪ねた。
「湊か。入れよ。」
俺を入れてくれたのは晴輝さんだった。
「一輝さん、お話があります。」
「おう、まあ座れよ。」
俺はリビングに通され、一輝さんの前に座った。
「すみませんでした。
俺ら目が覚めました。
由美さんのことは片付けました。
本音をぶつけてわかってもらいました。」
「そうか。よかったな。」
「もう由美さんは来ません。
なのでいつでも由茉を受け入れられます。
謝りたいです。早く会いたいです。
居場所、教えてもらえないでしょうか。」
「…詳しいことは言えない。
けど今由茉は両親のところにいる。」
「そうですか…」
「俺らの両親は今アメリカにいる。」
「アメリカ!?じゃあ由茉も…」
「あぁ。俺が言えるのはここまでだ。
由茉はずっと両親と離れ離れだった。
だから今はそっとしとけ。
ゆっくり居られる時間も少ない。
湊のことは俺から伝える。
もし由茉が話をしたがったら
そのときは連絡先を教える。
だから待ってろ。」
「…わかりました。
それと、もうひとつ話があります。」
「由美からの情報のことか?」
「はい。
今日知らされて俺らも準備を始めました。
ただやはり由茉の危険は変わりません。
これからどんどん増していくと思います。
由茉が姫だとばれないように
情報は一輝さんががっちり守っているようですが
どこで俺らと見られるかわかりません。
由茉にはできるだけ心配をかけたくないです。
なので、一人で出掛けないように
見張ってほしいです。」
俺は頭を下げた。


