「おい、由茉!」
そんな声が聞こえた気がした。
ナイフを颯に向けて向かってくる女の人から
颯を守るように私は颯に抱き締めた。
その瞬間、私の腰にナイフが刺さったのだ。
「っ…」
「由茉!」
湊の声が聞こえた。
「な…にしてんだ!由茉!」
「はは、颯…平気…?
私言ったじゃん…自分の命一番大事にしてって…
約束守ってよ…」
「由茉、喋んな。
救急車呼ぶから。」
冷静な、でもどこか焦った湊の声が聞こえた。
「美海、さん…
こんなことしても颯は手に入らない…
お願い、もうやめて…
死ぬなんて簡単に言わないで…」


