美波が言ってたな…


『由茉、あたしね、治して

海に初日の出見に行きたい。

治ることはきっと奇跡に近いから。

医者は治す手伝いをしてくれるけど…

なにがあるかわからない病気だから。

だから、太陽に今日も来てくれてありがとうって

いつかお礼を言いたいんだ。


お父さんとお母さんの出会いが海だったんだって。

その日の海が忘れられなくて美波ってつけたって。

だからいつか海に初日の出を見に行く。

今年もよろしくねって海と太陽に言いにいくの。

それがあたしの今の夢。

そのとき、あたしの隣にまだ湊がいてくれたら

もっと幸せ。』


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「美波…。」


一緒に来たかったな…。

思い出に浸っちゃった。


「由茉、美波のこと思い出してたの?」


哉斗の隣にいる爽にも聞こえてたみたい。


「美波言ってたんだ。

病気を治して、湊と初日の出見に行きたいって。

今年もよろしくねって言いたいって。」


なのに湊と来たのは私だった。

美波ごめんね。

美波の夢つぶしてんじゃん、私。


「私なんか、いつ死ぬのか、

そればっかりだったのに

美波はいつも前向きだった。

なのになんで美波だったんだろ。

私あんなに死ぬ覚悟してたのに。

美波はやりたいことも会いたい人も

たくさんあったのにな。

なんで美波だったんだろ。

神様っていじわるだよね。」


私は一人で喋り続けた。

みんなはただ無言でそれを聞いていた。