そんな人気者が、私にちょっかいをかけてくる。


始まりは生物の教科書を忘れた、とうちのクラスに来た時。

その日はうちのクラスでは生物の時間がなかったんだけど、たまたま私が持っていて貸したのがきっかけ。

それから何故か声を掛けられるようになり、今じゃ何気ない事でも話せる友達みたいな間柄になった。



「別れましたよ、それが何か?」

私は食事を止めずに、弁当箱に目線を落としたまま千歳にそう言った。

「本人がそう言ってんなら、本当なんだ。いやー、いい話聞いたわ!」

ストローを加えながら、千歳は満面の笑みを浮かべている。

何笑ってんの、コイツは。

人の不幸は蜜の味って?
だとしたら相当趣味悪い。