そうして夏休みが始まって、ふたりでたくさんの時間を共にした。

幸せな思い出をいくつも共有して、笑っていた。



だけど、出かけた先で彼の友だちやクラスメートに会うたび、何度もわたしにはるくんは分不相応だということを実感した。

……実感してしまったんだ。



夏が過ぎて、学校が始まって。

秋が来て、文化祭なんて1大イベントをこなして。



幸せな日々の中でわたしは、彼の隣にいることに限界を感じた。



自分の傷が、誰かの傷が増えていく。

そのことに怯えるわたしを見て、理由がわからないまま、はるくんも同じように傷ついていく。



もう、どうにもならないと思った。



だって好きなのに苦しい。

好きだから、……苦しいんだもん。






そうして、艶やかな葉が、雪が舞うように風に煽られる秋のさなか。

わたしは彼に別れを告げた。

彼もそれを受け入れて、わたしたちを苦しめた関係の終わりはひたすらに淡々としたものだった。



今もわたしは、心臓が突き刺されるような鋭い痛みには、気づかないふりをしている。