なのに、結良は。



「て、手伝いに行かなきゃっ……」



そのまま顔を隠すようにして、部屋を飛び出して行った。




「……だよな」



……あのとき、俺は逃げたんだから。




「フッ……」



ただのガキで。


我欲を満たすためだけに結良にキスした俺。


もしかしたら、俺のことを……。


なんて都合のいい解釈しすぎだろ。



俺は、最強のバカだ。


壁に背をつけるようにして、そのままずるずると床に落ちて行く。





俺はまだこのとき、気づいてなかったんだ。


5年という、時の長さを……。