……ドキッ、とした。


明るくてお調子もの。


そんなイメージしかない凌空が見せた大人びた表情に、動揺が隠せない。


あたしの知らない間に、凌空がこんな表情を見せるようになったんだ…って。



……だめだ。

緊張する。


……凌空とふたりきりになると……



"あのとき"を思い出すから。



意識すればするほど心臓がドキドキと早鐘を打つ。



「じゃ、あたしも手伝ってくるねっ!」



どうしても逃げたくて。


勢いよく立って、ドアを開けたとき。



───グイッ。


腕を掴まれた。