「あれー?隼人がまだ来ねえぞ?」
誰かが隼人を捜す声が聞こえた。
「……!!」
……スピードに乗りかけた足は止まって。
「マネージャーもいませんよー。怪しーっすねー」
下級生の声に、ますますそこから動けなくなる。
……っ。
どうしよう。
先にも後にも動けない状態になる。
「どこ行ったんだー?ふたりが来なきゃ始めらんないじゃーん」
その声が大きくなったとき。
隼人が手をグッと掴み、あたしの体は引き戻される。
ちょっ……!
そのまま、廊下の突き当たりの影に連れて行かれ、身を潜めるあたし達。
狭くて、密着する体。
トクンッ……!!
息もかかりそうなこの距離に、心臓がバクバク言ってる。
……告白した直後にこんなシチュエーション。
見上げれば隼人の顔が真近にあって、どうしていいか分からない。
「なあ。今言ったこと、本当?」
恥ずかしさと、捜されてる焦りの中、さっきの告白を確認されてもっとパニックになる。
ええと、ええと……。
もう一回言う勇気がなくて、ブンブンと首だけを縦に振り下ろす。
グッ……。
掴んだままのその手に力が入った。
「俺は今でも、結良が好きだよ」
「……えっ……」
「別れてからも、ずっと好きだった」
「……」
「好きだ」