───カキーン……。


そんなあたしたちの耳にいつも聞こえていたものは。


白球の音。


フェンスで仕切られていた、隣の広いグラウンドから聞こえてくるものだった。


そこは、青翔学園、野球部のグラウンド。


真っ黒に日焼けしたお兄ちゃんたちが、白いボールを打っては必死に追いかける。


ルールも何もわからないあたしたちだったけど、それはとても興味をそそり。


いつのまにか、フェンスに顔をくっつけるようにして見入っていた。


ブランコに乗るよりも、砂場でお山を作るよりも、楽しい時間だった。