『声聞きたかったよー!京介からは、忙しいんだから電話するなよって言われてたんだけど、我慢できなくて電話しちゃった』
「ありがとうっ!あたしもすっごい沙月と話したかった!ここのところ女子と話せてないしから淋しかったの!」
部員との生活も楽しいけど、やっぱり女の子だもん。
『あはは。たしかにそうだねっ。それにしても青翔の快進撃はすごいね。悪いけど、正直ここまで来るなんて予想してなかったよ!』
正直に話す沙月に、その気持ちはたぶんみんな同じだとあたしも笑う。
「うん。みんなの応援のおかげだよ。応援ってすごく力になるから。ほんとにありがとう」
『それはもうお互い様だよ。スタンドにいるあたし達だって、諦めない姿とか、仲間を信じて戦う姿に、すっごいパワーや勇気をもらってるもん』
「……ありがとう」
そんな風に思ってくれてるってみんなが知ったら、嬉しいだろうな。
涙声がバレないように、スマホから少し離れて鼻をすすり、尋ねる。
「明日も応援にきてくれるの?」
『もちろん!明日の早朝に出発するよ。決勝戦も見るつもりで宿もとってあるからっ』
「ほんとにっ?」
沙月からの嬉しいプレッシャー。
明日勝てばそのまま連戦になるから帰ってる暇なんてないもんね。
……そうなれば、いいな。
『隼人の怪我で一時はどうなるかと思ったけど……3人の幼なじみパワーは無限大だねっ!』
……沙月も沢山心配してくれてたんだ。
バラバラになりかけたとき、ほんとに苦しかった。
そんなときの心の支えは沙月だった……。
『あんたたち3人、ほんと見直したよ。結良はやっぱりあたしの自慢の大親友!』
「沙月~」
泣かせるようなこと言わないでよ。
って、声を聞いてるだけで、涙腺は緩みっぱなしなんだけど。
あんまり長いと明日に響くから……って、そのあとすぐに電話は切れた。
久々に親友の声を聞いて落ち着いたのか。
明日への緊張もほぐれ、あたしは幸せな気持ちでゆっくり眠りについた。