「桐谷の席は一番後ろだ。お、ちょうど川瀬の隣だ」



……え?


あたしは空いている隣の席に目をやった。



……ここ……凌空の席……?




凌空が、こっちに向かって歩いてくる。


トクンッ……トクンッ……。



面影を残しつつ、その姿はまるで変わっていた。


……幼さなんてまったくなく、男らしく成長した凌空。


思わず、目を逸らす。



───ガタッ。


椅子を引いて、凌空が座る。




「ただいま、結良」



あたしの右側から、凌空の声。



「……おかえり」



あたしの中の何かが、動き出した気がした。