翌日。
県営球場で行われた開会式では、俺は隼人の"背番号1"をつけて入場行進をした。
この重みを感じながら、1球1球を大切に、必ず、隼人に繋ぐと心に誓って。
俺の球は、それほど他のチームに浸透していない。
隼人の攻略にやっきになっていた対戦校は拍子抜けしていたが、新たな危機を感じているようだった。
俺と隼人じゃタイプが違うからな。
利き腕も違うし、三振量産機な隼人と違い、俺は打たせて取るタイプだ。
1番が、右投げから左投げに変わったってだけでも、相手に与えるプレッシャーはあるだろう。
俺の他にも3人の投手がベンチ登録をしている。
隼人が離脱したからって、油断はさせねえっ……。
チーム内の雰囲気もよかった。
"隼人を甲子園に"
それを合言葉に、チームはより一致団結し。
勢いづいた青翔はとまらず、あっという間に決勝まで勝ち上がった。
桜宮高校も、順調に駒を進め。
決勝は去年の夏と同カード、青翔VS桜宮に決まった。
「ついにここまで来たな。あとひとつだ」
試合後、ずっと俺の球を受け続けてくれた直哉が、俺に握手を求めた。
「…………ああ」
その手を強く握り返した俺は、湧き立つような血が体中を駆け巡っているのを感じた。
待ってろよ、桜宮……
隼人の無念は、絶対に俺が晴らしてやるっ……。