「ちょっと待って!やめてっ!」



慌てて止める。


ユニフォーム、切り刻む気!?



きっと青い顔をしているだろうあたしに、隼人は笑う。



「外すんだよ、コレ」



それは背番号に縫い付けられた【1番】



「もう俺には背負えないからな」


「……あ」



丁寧に、丁寧に、外されていく1番。


ピッチャーなら、誰もが憧れる1番。



……どんな思いで外してるのかと思うと、呼吸音さえも漏らしちゃいけないような気がして息をひそめる。



外し終わると、しばらくその1番を眺めた後、あたしの手に乗せた。



「これをさ、凌空に渡してほしいんだ」


「えっ……」


「アイツ、練習来てないんだって?」


「……うん」


「俺の電話もオール無視だし」


「……」


「見舞いくらい来いってのな」



眉間にシワを寄せるのは、責任どうのじゃなくて、単純に親友としてだと思う。


隼人は今回の事故を誰のせいにもしなかった。


それでも……隼人は凌空の背負っているものがわかってるんだよね……。



「1番をつけられるのは、やっぱり凌空しかいねえよ。監督さんからも話行ってるはずだけど凌空は聞かないみたいで」


「そう……なの?」



あたしも凌空と会話できてない。


家に行っても出て来てくれないんだ。