今日は期末テストの最終日。


3教科のテストを、なんとかやり過ごし、放課後。


午後から他の部活も解禁になるため、珍しく校内はにぎわっていた。


その中、俺はひとり足早に昇降口へ向かってると。



「凌空、帰るのか」



広田監督に呼び止められた。


目が合い、気まずくてさっと逸らす。


監督は、事故の詳細を知ってるはずだ。


そう思うと、ますます合わす顔がない。



「……」



軽く頭を下げそのまま通り過ぎようとしたとき。



「甘ったれんな」


「……っ」


「隼人が離脱した今、お前しか1番を背負えるヤツはいないんだ」


「……無理です」



なに言ってんだ……。


出来るわけねえだろ。



「おい凌空っ!」



後ろから呼びかける監督の声を無視して通り過ぎると、少し先に結良が見えた。


気付かないふりをして、下を向きながら足を速めた。



「凌空……っ……」



俺を呼ぶ声が聞こえたけど、そのまま通り過ぎた。





俺にはもう、投げる資格なんてねえ……。


1番……?


冗談じゃねえ。


俺のせいでつけられなくなった背番号を、どうやって俺がつけるっつんだよ。



今日もグラウンドに行くこともなく、そのまま家へ帰った。