それから放課後まで眠り続け、夢まで見ていた。


3人で小指を絡ませる、あの懐かしい夢を。




───"ぼくが結良ちゃんをこうしえんに連れて行ってあげる!"


───"ちがう!ぼくが結良ちゃんをこうしえんに連れていく!"


───"じゃあ、ふたりでつれて行って?約束だよ?"




目覚めた時は、何だかすごく幸せな気持ちだった。




恋心なんて知らなかったあのときみたいに。


原点に戻って、みんなで夢を見よう。



あたしたちの描いた夢まで、あと少し―――








「マネージャー!こっちよろしく!」


「はあいっ!」



呼ばれてダッシュする。



今日はすごく気分がよかった。


昼間あんなことがあったけど、ゆっくり休めたし……久しぶりにゆっくり隼人と話せたから。



彼女じゃなくなったあたしと隼人の関係は、あくまでもマネージャーと選手。


隼人は青翔のエースだし、雲の上の存在の隼人にはなかなか声を掛けずらい。


それなりに忙しくグラウンド上を駆け回るあたしにも、そんな時間は無かったし。


間はどんどん広がるだけだったけど。


やっぱり隼人は隼人だった。


なにも変わらない。


あたしの、好きな人。


隼人は拒絶したいだろうけど、自分の気持ちに素直になれば、あたしは今だって隼人が好きだから。


夏が終わったら……今度はあたしから気持ちを伝えてもいいかな……。