「そうだ。憶測だけで物を言うのはよくないんじゃないかな」


「俺らのマネにひどいこと言ってんなよ」


「どうせお前らなら一日ももたねえだろ」


「うちのマネージャーに謝れよ!」



向井くんや、黒田くんも……。


……みんな、ありがとう……。


彼女たちはもう何も言い返すことなく、気まずそうにこの場から去って行った。



あっ……。



「ちょっとしっかり!」



全身の力が抜けて、フラッとしちゃったんだ。


背後から抱えてくれていた沙月のおかげで倒れなかったけど。



「休ませた方がよくないか?」


「そうだな。中村、俺このまま保健室連れてくからあと頼む」


「うん、わかった」



えっ……。


凌空と隼人と沙月の間で、話がまとまり。



「行こう」



あたしの肩に手を乗せ、保健室へと促す隼人。


少し迷ったけど。



「……うん……」



……こんな状態で、次の授業を受けられそうもない。


あたしは大人しく隼人に従った。





こんな風にふたりきりになるのは別れて以来。


歩く道のりは無言。


それが余計にドキドキを加速させた。


隼人が触れている箇所が、ものすごく熱い。


隼人はすごく余裕そうなのに、あたしひとりがドキドキしてる……。


保健室までの道のりが、ものすごく遠く感じた。





保健室の先生に事情を話すと、ベッドで休ませてもらえることになった。


ベッドに背をつけると、さっきまでの緊張や興奮がフッと解き放たれたように楽になる。



「さっきは、ありがとう……」