元々部屋に上がり込むつもりなんてなかったし。
「コレ、届けに来ただけだから」
骨骨チップスを手渡した。
「……ありがとう」
「ホント、悪かった」
結良が受け取ったタイミングで頭を下げた。
「……あんなことして」
「……」
「気まぐれとか、アメリカの習慣とか……そんな軽い気持ちでキスしたわけじゃない」
「……うん」
じゃあなんなんだって聞かれたら。
告白以外のなにものでもなくなっちまうんだけど。
「じゃあ……お大事にな」
最後はいつもらしく明るく振る舞うと、同じような笑顔で結良は返してくれた。
「ありがとう。おやすみ」
……良かった。
俺はただほっとして、自分の家に帰って行った。
このとき、結良の抱えている辛さに気づくはずもなく───