【凌空side】



体育祭から部活へと、モードを切り替えるのは容易くなかった。


熱気と興奮で、まだ体がフワフワしている。


それでも日頃鍛えてるおかげで余力はあり、むしろ体はものすごく動き、ボールを放つ体が軽く感じた。


そんな中、俺を見るたびにチームメイトから掛けられる言葉。



『マネージャーは?』



今日練習中、何度こう声をかけられたか分かんねえ。



『昨日部活中に怪我したから、隼人が病院連れてってる』



そう答えるのも何度目か……。



白い練習着ばっかの中、青いジャージ姿でちょこちょこ動き回ってる結良はすごく目立つ。


その姿がないだけでこれほど結良の行方を聞かれるって、どんだけ結良はグラウンドに溶け込んでんだよ。


バーベキューの時に隼人が言ってた、「結良はグラウンドに居てくれるだけで意味がある」その通りだな。



実行委員でバタバタしていた俺がそれを知ったのは、ふたりが病院へ行った後だった。







「おつかれーっす」



日が暮れようとした頃、隼人がひとりで戻ってきた。


チームメイトたちの目が、一斉に隼人へ向かう。



「お疲れっす!」


「お疲れ様です!」



それに答えるようにぐるっとグラウンド全体を見回す立ち振る舞いに、全身から溢れ出るオーラを感じた。


すげーな……。


さすが青翔のエースでスター選手だ。



「お疲れ。結良どうだった?」



俺もピッチング練習の手を止め、すぐに歩み寄った。